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SHIRO OZAWA

SHIRO OZAWA
小澤 史郎(小澤金物店 店主)

1989年福井県生まれ。
箪笥など工芸の様式を調べるなか、金物の美しさに触れ、
和金物を中心に伝統的な金物をそろえた小澤金物店を開業。
「日本の美しい金物」をコンセプトにしつらえにかなう金物を製作販売している。

建築空間や家具など、その意匠全体に大きな影響をあたえる金物。
金物という小さな伝統がもつ美のエッセンスを求めて日々調査、研究に取り組んでいる。

座右の銘は「たかが釘、されど釘」

小澤金物店
http://ozawakanamonoten.com

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2016/10/12

木と金物

私が金物の製作の時、一番に思うのは、

「木と金物の調和」です。




金物はあくまで金物で、ただの部品です。
けれど、ただの部品に過ぎない金物が、取り付けられるとその対象の意匠そのものをも変えてしまう。
対象とあいまって、互いの美しさを引き立てあう。
小さいながらもずっと大きな魅力を秘めたかけがえのないものだと思っています。




箪笥写真.JPG
(武生地方の時代箪笥:大正時代)




これは大正時代に武生地方(現:福井県越前市)で作られた箪笥です。
学生時代、箪笥の様式の調査を行なっていた時に撮影したものです。




当初、木工に大きな関心を持っていたのですが、
箪笥に出会い、その全面に施される手の込んだ美しい金物に魅了され、現在に至っております。




これは、その中でも一番心に残っている箪笥です。
武生の箪笥では最も仕事の良いものの一つといってよいでしょう。
このような箪笥は、指物師、金物師、塗師のそれぞれの仕事がなすもので、
いずれも一切の抜かりのない丁寧な仕事がなされています。




なかでもこの箪笥を特に特徴づけているのは金物のデザインです。
猪の目の取り方、絵様刳型、面の取り方。一点の隙もありません。
分厚い鉄の板を打ち伸ばして形作り、磨き、綿拭きで仕上げられています。




これほどの厚みを持った重厚なものはめったにありません。
けれど、金物がどれだけ厚くても、木がそれに負けてしまっては台無しです。
そこをこの箪笥は堅牢かつ目の詰まった、大変素直な柾目のケヤキを用い、呂色の漆で仕上げてあります。
そのため互いが負けることなく誇るのです。
見事な木と金物の調和です。




箪笥の場合、誤解を恐れずに申し上げるなら、
指物によって見た目の差はほとんどつかないといえましょう。
この箪笥もそうですが、金物がその姿を決めているのです。
時代箪笥も様々な種類がありますが、用途が同じである以上
木地を組んだ姿に大きな違いはありません。
その産地を決定づけているのは、金物の意匠なのです。
(ちょっと話が外れました。)




さらに魅力となっているのは、この箪笥が経てきた時間です。
日々使い込まれ、木も漆もよく枯れて持ち味がよく引き立っています。
木や漆が枯れる一方で、金物は手沢が乗り、手がけの釻(取手)は輝きを増しています。




こういうことをみなさんに知っていただきたくて、楽しんでいただきたくて、私は金物店をやっています。




指物師や伝統のしつらえを手がけていらっしゃる方はたくさんいらっしゃいますが、
その仕上げに使う金物というとなかなか良いものがないというのが現状です。
そいった求めに応じていけるようこれからも、取り組んでまいります。




また、金物を使いたいけれど、マンションのため難しいという方のために
当店の金具を取り付けた使っていただきやすい小さな家具も販売しております。
吉野杉の柾目を用いて、中は桐で製作。
使い込んでお楽しみいただけるよう、表面は鉋をかけたままでの仕上げです。
木も金物も十分に楽しんでいただけます。





小澤金物店 サイドテーブル 滴下り(銅製)
0006.jpg




小澤金物店 木と金物 商品一覧

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